SDN Japan 2013(3日目)に行ってきました

2013/09/20 (金) に恵比寿 ザ・ガーデンホールで開催された
SDN Japan 2013(3日目)に行ってきました。
聴講したセッションについて簡単にまとめます。


SDN、ネットワーク仮想化、そして無限の彼方へ

VMware, Inc. / Martin Casado

OpenFlowの開発前、現在、そしてこれから…の時系列に沿って、
SDNやネットワーク仮想化の歴史について、VMwareの中の人による説明でした。

OpenFlow開発前(2002-2003)

  • 当時、ネットワークのセキュリティの強化は困難だった。
    • ソフトウェアならプログラミングすればよかった
  • 理想とは異なるネットワークにがっかり。
    • 冗長性に制限
    • トポロジーへの制約
    • イベントへの応答が不十分
    • 運用が複雑

OpenFlowの開発(2004-現在)

  • 「ネットワークをプログラムする方法」を考えた
    • データプレーンを汎用化する
    • 分散モデルとトポロジーを分離する

OpenFlowやSDNのよくある誤解

  • OpenFlowは新機能を提供しますか?→そうともいえません
  • SDNはスケールしますか?→YES。
    • 現在では10万端末でテスト済み
    • 本番環境でも実例がある
  • SDNにより、ネットワークをプログラムすることは簡単になりますか?→NO
    • プログラムモデルの複雑さはあんまり変わらない
  • SDN vs ネットワーク仮想化の違い→SDNは方法、アプローチ。SDNはネットワーク仮想化を実現するアプローチたりうる。

SDNの成功要因はコミュニティであり、コミュニティの力が大切だと締めていたのが印象に残ります。


Accelerate SDN Adoption with Open Source SDN Control Plane

ON.Lab, ONRC and Stanford University / Guru Parulkar

オープンソースのコントロールプレーンがSDNの採用を加速するという話。

  • SDNのコントロールプレーンには、スケールアウト、HA、North Bound API、性能などの課題がある。
  • 有無を言わせないようなSDNユースケースが必要になる。

それらをなんとかするのがONOSプロジェクト

質疑応答では、ネットワークエンジニアの方の質問に下記のように答えていました。

  • これからのネットワークエンジニアに必要なスキルセットは?→SDNチュートリアルを使うとよい。プログラミングのスキルは必要になる。

レガシーのネットワークとはかなり異なる技術なだけに、スキルセットについてはよく話題になりますね。


SDN with Network White Boxes
(ネットワークホワイトボックスと連携するSDNについて)

Infoblox株式会社 / Shivaram Mysore

講演資料はこちら

FlowForwarding.orgとは、ONF標準に準拠した実装を推進するコミュニティ。
このコミュニティで開発されているOpenFlow v1.2/1.3.1ベースのソフトウェアスイッチがLINC
LINCはOpenFlow対応スイッチであり、OF-Configに対応。
LINCはマルチプラットフォームで動作し、Raspberry Piでも動作するとのこと(!)

講演中では、OpenFlowコントローラフレームワークRyuで、
このOpenFlow対応スイッチLINCをコントロールするアーキテクチャの例が紹介されました。

OpenFlow x Hadoop

OpenFlowとHadoopで何かできないか?
どのような価値をHadoopネットワークに提供できるか?というアイデアについて考えたところ、
OpenFlowネットワークをHadoopクラスタに接続し、高速化に成功したとのこと。(パフォーマンス20%向上)
論文はこちら

スイッチディスカバリー方式

LINCに対するスイッチディスカバリーでは、広く普及しているLLDPを使った方式ではなく、
フローラーニングを使用するとのこと。

ロードマップ

FlowForwardingのロードマップでは、LINCのOpenFlow 1.3.2/1.4対応を予定。
また、SDNプログラマのためのRESTベースのOpenFlow 1.3.1準拠のJavaコントローラライブラリー”FFController”のリリースを予定。
オープンソースのOpenFlowテストフレームワークTwisterでのテストを継続中。


SoftCOM: Ushering SDN and NFV into the Carrier Network

華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン) / Justin Joubine Dustzadeh

キャリア・ネットワークの進化

現在:集約化。All-IPネットワークへの移行。
開発中:フラット化。
その次:Software-Defined化。

SoftCOM

キャリア・ネットワークのSDNを考える上での3つの原則。

  • OpenSDN : SDNのアーキテクチャはOpenでなければならない
  • Standards-Based : SDNのインタフェースは標準化されなければならない
  • End-to-End : ネットワークのドメインごとに異なる要件に応えられるコントローラの実装が必要

SoftCOMのビジネスユースケース。

  • SDN-Based Mobile Backhaul : トラフィックが大幅に増えたLTEネットワークを低コストで管理する
  • Virtualization Residential Gateway : 何十万台ものデバイスを管理する
  • Traffic Steering for Gi-LAN : エッジ / モバイルコア
  • Cloud IMS
  • Data Center Interconnect
  • Protocol-Oblivious Forwarding (POF)

パネルディスカッション「SDNを作る側と使う側」

<作る側>
ヴイエムウェア株式会社 / 進藤 資訓
アリスタネットワークスジャパン合同会社 / 兵頭 弘一
日本電気株式会社 / 金海好彦
<使う側>
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社 / 北瀬 公彦
日本電信電話株式会社 / 水野 伸太郎
レッドハット株式会社 / 中井 悦司

パネルディスカッション内でのSDN

  • 道具であり、ゴールでない
  • 道具は進化する
  • 作る・使う側の役割も変わる
  • 道具は陳腐化する

このパネルディスカッションでは、SDNの適用領域のターゲットをデータセンターに絞る。

ヴイエムウェアの進藤さんが語るSDN

元Niciraの方。
Open vSwitchを生み出したNicira、それを買収したVMwareということで、
このパネルディスカッションでは、特にOpen vSwitchにフォーカスする。

Open vSwitchのアーキテクチャ

  • ovsdb-server
  • ovs-vswitchd
  • openvswitch_mod.ko

Open vSwtichはv1.1.0でFeature的に完成している。
最近のニュースはLinuxカーネルへの同梱やVXLANのサポートなど。
Open vSwitchはOpenStack、CloudStack等、様々なソフトウェアとの連携が可能。

アリスタの兵藤さんが語るSDN

パネラーで唯一ハードウェアベンダ。

  • SDNの理想と現実
    • 理想論者の視点:コントロールプレーンとデータプレーンの完全な分離
    • 現実論者の視点:高級言語でプログラミング可能なネットワークデザイン
  • サーバのプロビジョニングの確信
    • 1990年代:サーバにOSのCDを入れてインストール
    • 2013年:Chef, Puppet, VMwareなど、いろんなソフトウェアでプロビジョニング
  • ネットワークのプロビジョニング
    • 1990年代:ネットワーク機器にログインしてコマンド実行
    • 2013年:(全く変わっていない!)
  • SDNのための物理ネットワークデザイン
    • SDNだからこそしっかりと設計する必要がある
    • リーフ/スパイン、ファットツリーなどがよいというのがコンセンサス

レッドハットの中井さんが語るSDN

  • OpenStackから見たSDNの役割=仮想ネットワークをつくってくれる不思議な道具
    • Driver/Pluginによる外部コンポーネントとの連携
    • 既存インフラと連携・結合するための作りこみが可能であり、本格利用にあたってSDNとの連携は超重要。
  • 仮想の世界で物理と同じネットワークをつくるという人が多い。
    • 仮想ルーター、仮想ファイアウォールなど。
    • サーバ仮想化でも物理と同じサーバがつくれるという同じような進化をしてきたけど、今となっては仮想の世界ならではの方法があるはず。アプリだけ動けばいい、とか。ネットワークの世界でもフルスタックではなく、Lightweightなネットワークができないか。

NTTの水野さんが語るSDN

  • 上位サービスを柔軟に構築可能とするためのクラウド基盤でのSDNの利用
  • オーケストレータとしてはOpenStackを利用していて、仮想ネットワーク管理の部分で各社コントローラをプラガブルに利用している。
    • 現状、プラグインはコントローラベンダが開発している)

Citrixの北瀬さんが語るSDN

  • CloudStackとSDN
    • プラグインを介してサーバ仮想化ソフトやストレージ仮想化ソフト、ネットワーク仮想化ソフトと連携する。
    • ネットワークのプラグインとしては、NiciraやOVS、Midonet、BigSwitchなど様々なものがある。

NECの金海さんが語るSDN

  • キャリア向けデータセンター。
  • PFC Controller、UNC、WebSAMによるアーキテクチャ。

ディスカッション

「SDNは黒魔術じゃない」

作る側

  • SDNになると、ネットワーク機器にはインテリジェンスは必要ない?ネットワークオペレータの仕事はなくなるんじゃないかという人
  • SDNを支える物理インフラを支えるネットワーク機器に必要な機能とは何?
  • SDNコントローラをどんなコンセプトで作っているのか?違いがあるのか?
  • 相互接続は?転送ノード間、転送ノードとコントローラ、コントローラ間

使う側

  • 使う側が実現しようとしている世界観と作る側とのギャップ垂直統合的なのか、水平統合的なのか
  • 選択肢を与えるのは大切、垂直統合は便利だけど、選択肢がないとだめ
  • 使う側はつまみ食いしたいので、作る側には全部揃えて欲しい
  • SDNでコモディティ技術(HW/SW)を利用する価値は?
  • 導入目的の最初の一歩はCAPEX/OPEX削減、しかし本音は競争力の在るサービスが必要

 

  • 垂直統合と水平統合
    • 垂直統合は一つの技術、一つのベンダで上から下まで統合されている。
    • 水平統合は、上から下まで様々な技術、様々なベンダからそれぞれ選択して活用する。
    • 「選べる」ということが重要。
  • SDNエンジニアとしての姿勢
    • SDNが登場していい時代が来たんだから、ネットワーク屋かサーバ屋か、自分の役割とか範囲とか決めずにいろいろ触って勉強しましょう。それが強みになる。

SDNとBare Metal Switchはピーナッツバターとジャムのように相性が良い

Big Switch Networks, Inc. / Rob Sherwood

SDNもベアメタルスイッチも両方素晴らしいものだけど、組み合わせるともっと良い。
今日フォーカスするのはスイッチ。
ベアメタルというのは、「むき出しのままの金属」を指し、素のままということを表す。
ベアメタルスイッチは、素のままのスイッチ。

  • Bare Metal is more than white box
    • ベアメタルの考え方というのは、ハードウェアをソフトウェアと別に買うということ。
    • ベアメタルとホワイトボックスは違う。
  • SDN x ベアメタルスイッチの利点
    • Faster Innovation
      • スイッチはよくブラックボックスだと思われていたが、ベアメタルスイッチなら中身がわかってコントロールできる。
    • No vendor lock-in
      • 標準化されたブートローダ:ONIE
      • スイッチOSとアプリの間:OpenFlow, OFConfig, SNMP, SFlow
      • オーケストレーション層:OpenStackなど
    • Lower TCO
  • SWITCH LIGHT = Linux + OpenFlow

NSX: マルチハイパーバイザに対応したネットワーク仮想化ソリューション

VMware, Inc. / Somik Behera

  • 仮想ネットワークについて
    • 仮想サーバではx86の汎用サーバハードウェアさえあれば仮想化できた。
    • 仮想ネットワークでも同じように、IPトランスポートできる汎用ネットワークハードウェアさえあれば仮想化できる。
  • NSXシステムのアーキテクチャ
    • NSXコントローラクラスタ
    • NSX仮想スイッチ
    • 論理スイッチ
    • NSX Gateway
    • ネットワークAPI
  • VMware 導入事例
    • セルフサービスIT:マルチテナント、柔軟なIPアドレスの管理、使用の簡素化
    • データセンターの自動化:拡張性の高いファイアウォール、豊富なL2/L3ネットワークサービス、プログラムによる使用
    • パブリッククラウド:マルチテナント、プログラムによるL2/L3セキュリティ、IPアドレス重複、任意のハイパーバイザ

パネルディスカッション「SDNが拓く未来のICT環境とは」

3日間に渡るSDN Japan 2013を総括するパネルディスカッション。

  • 適用領域
    • クラウド
    • キャリアネットワーク(NaaS)
    • IX
    • オフィスネットワーク
  • 標準化/オープンソースの動向
    • OpenFlow(ONF)
    • Overlay(IETF)
    • NFV(ETSI)
    • OpenDaylight
  • 実用化
    • ハードウェアベンダ、ソフトウェアベンダの取り組み
    • Interop Shownetでの実績
    • 開発経験、運用経験からのフィードバック
  • マーケット
    • SDN市場の状況
    • エコシステムの方向性
  • 方向性
    • マルチレイヤ、マルチネットワークへの広がり、Deep Programmability
    • テストベッド(沖縄オープンラボ)
    • Open Innovation基板、コミュニティが重要

総評

SDN界隈は直近1〜2年で、テストベッドや商用製品開発など、かなり知見が溜まってきているように感じました。
OpenFlowのバージョンも、多くのプロダクトが1.3系をサポートしてきています。
市場の盛り上がりはこれからという印象ですが、近い未来のブレイクスルーを期待したいところです。

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